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沈黙の刃|刀の手入れは「音」でできている

  • 執筆者の写真: Emi  | Kenshiro Shiba Labo
    Emi | Kenshiro Shiba Labo
  • 50 分前
  • 読了時間: 2分



ぽん


ぽん


シュッ



刀の手入れは、

静かだ。


けれど、

完全な無音ではない。


むしろ逆で、

小さな音だからこそ

際立つ。


日本刀の手入れには、

独特の“音の風景”がある。




薄暗い和室で、日本刀を静かに手入れする様子を描いた絵本風イラスト。打粉や拭紙が置かれ、小さな音が響くような静かな空気が漂う。
ぽん。シュッ。カチッ。 刀は、音で語っている。

まず、

打粉



ぽん。


ぽん。



白い粉が、

ふわりと舞う。



柔らかく、

乾いた音。



古い油を落とし、

刀を目覚めさせる合図みたいな音だ。

一定の間隔で、


静かに響く。



どこか

木魚に似ている気もする。


空気を整える音。



人の気持ちまで、

ゆっくり

静かにしていく。




それから、

拭紙の音。



シュッ。


シュッ。



刀身を滑る、

低い音。



あの音が、

妙に心地いい。


粉と油が、

鉄の表面を流れていく。



ただ拭いているだけなのに、

音を聞いていると、

刀の肌を撫でているような感覚になる。




刀を外す音も、

独特だ。



目釘を抜く時の、

コン、コン。



柄を抜く時の、

ギッという重たい音。


鉄と木のあいだの音。


これは

長い時間をかけて

馴染んできた音。




そして最後。


刀を鞘へ戻す。



ハバキが、

ぴたりと収まる。



カチッ。


小さい音。




でも、

あの音が一番好きかもしれない。



ちゃんと終わった。



刀が、

静かに収まった。


そんな感じがする。




面白いのは、

手入れの時間、

人間の呼吸まで聞こえてくることだ。


刃に息がかからないよう、

自然と呼吸を浅くする。


すると、




ぽん。


シュッ。


カチッ。




その合間に、

自分の呼吸だけが残る。




刀の手入れは、

音楽みたいだ。



派手な音は、

何ひとつない。




けれど、

静かな音だけで、

空間が満たされていく。



数百年前の鉄に触れながら、

その小さな音を聞いていると、


人は、

こうやって刀と向き合ってきたのだなと思う。





ぽん。


シュッ。


カチッ。



今日もどこかで

小さな音たちが


静かに、

時間を語っている。


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