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日本刀が教えてくれた歴史の深さ

  • 執筆者の写真: Emi
    Emi
  • 1月19日
  • 読了時間: 4分

更新日:2月18日

大阪城天守閣と北川先生との出会い


仕事を通じて、

大阪城天守閣の館長であった北川先生(現在は九度山・真田ミュージアム名誉館長)と知り合う機会があった。


底知れない知識を持ち、

どんな質問にも的確に答えてくださる先生は、その話術も抜群に面白い。

私は先生とのやり取りが大好きだった。


毎日の仕事場が大阪城の天守閣で、

毎日そこに通うという環境。


もし私だったら、毎日が楽しい上に

根拠のない無敵感でいっぱいかもしれない。それが日常になれば、もう気分は殿様だ。



そんな先生にご協力いただいたのは、あるお芝居の台本の監修だった。



NHKの仕事で書いたファミリー劇は、安土桃山時代の松山を舞台にした築城物語。


新たに伊予の地を治めることになった殿様が、お城を築くという内容だった。

セリフや演出上の設定だけでなく、武士や庶民の衣装や小道具の細部に至るまで、専門家の視点で確認してもらった。


その過程で、たくさんの質問をして、

貴重な知見を得ることができた。

後日、感謝の気持ちを伝えるために大阪城へ伺った際には、過去の企画展の図録をいただき、それを見ながらさらに深い話を聞くことができた。


履歴書に書かれた経歴だけでは、

その人の本当の人柄はわからない。


同じように、

教科書に書かれている歴史上の出来事も、単なる事実の羅列に過ぎない。




たとえば「姉川の戦い」は、元亀元年(1570年)に現在の滋賀県で行われた合戦だ。


織田信長・徳川家康連合軍と浅井・朝倉連合軍が激突し、織田信長がその後の天下統一への足場を固めた重要な出来事だった。



そんな教科書に載っている歴史の記述ではなく、先生の話によって本当にあった出来事として、生々しく蘇る。


当時の武士たちが命がけでこの戦いに挑む姿が、目の前に浮かび上がるようだ。

その緊張感を想像すると、るで自分が戦場にいるかのような気分になった。



有名武将の末裔が語る歴史の記憶



また、上杉謙信の末裔の方とご縁があり、領地や関連する博物館を案内していただいた。


展示品として並ぶ琵琶や武具は、謙信公の遺品として貴重なものだが、末裔にとっては祖先の形見そのもの。

その思いを聞きながら展示品を見ると、ただの歴史資料ではなく、当時の人々の息遣いを感じるようだった。


特に、上杉謙信が愛用したとされる一節笛の音色は柔らかく物悲しく、戦国時代の激動の記憶を呼び起こす響きだった。


その瞬間、

刀剣や武具が、単なる道具ではなく、時代を生きた証として鮮やかに感じられた。



刀剣と史実が繋がる瞬間


私にとって、刀剣は美術品だった。


それがどれだけ価値があり、

どんな武将の手を経て現代に伝わっていようとも、それは刀剣の「履歴書」に過ぎなかった。


しかし、さまざまな出会いを通じて点と点がつながり、刀剣と史実、そしてそこに関わる人々が一つの物語として私の中で結びついた。


まるでモノトーンだった世界が、鮮やかなカラーで息を吹き返したように感じる。


その時代を生きた人々の鼓動まで聞こえてくるような瞬間だった。


私にとって刀剣は決して日常的なものではない。

刀を差して歩く人もいなければ、家に家宝として伝わる刀があるわけでもない。


同じ日本でありながら、何百年もの時を経て、異なる価値観や文化圏がそこに広がっている。


その時代の刀剣が気になり始めた。

その刀が作られた時代、

その刀を手に取った武士はどんな人物だったのだろうか。


どんな思いを込めて作られ、

どんな願いが託されていたのか。


きっと、家族を守り、仲間と生き抜くための刀には、武士の覚悟や祈りが込められていたのだろう。


気がつけば、

私は歴史という奥深い幻想世界に

迷い込んでいるのだ。




参考情報:

刀剣と歴史をもっと知るために


そんな歴史の奥深さを感じられる場所が、

今の日本各地にはまだ残っています。

この記事で紹介した内容に関連する展示や図録をまとめました。

ぜひ、実際に訪問して歴史の深さを体感してみてください!


おすすめの展示場所

• 大阪城天守閣(大阪府)

 戦国時代に関連する展示や企画展が定期的に開催されています。


• 米沢市上杉博物館(山形県)

 上杉謙信公の遺品や刀剣、武具が展示されています。公式サイト:米沢市上杉博物館


図録・書籍

• 「大阪城天守閣 歴史図録」:大阪城の展示内容を詳しく知りたい方におすすめ。

• 「上杉謙信公とその遺品」:上杉家に伝わる歴史資料を網羅した一冊。

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