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西太后のカルテに残されたもの──顔という「心の履歴書」

  • 執筆者の写真: Emi  | Kenshiro Shiba Labo
    Emi | Kenshiro Shiba Labo
  • 2 時間前
  • 読了時間: 5分




皇帝や皇后の顔は、医者でさえ、自由に見ることを許されなかった。

それでも彼らは、残された「」だけで、体と心の状態を読み取っていた。


なんか、すごくない?

今回は、そんな古代中国の皇帝や皇后をめぐる、

医療最前線のおはなし。




西太后のカルテと、顔という「心の履歴書」




西太后など、古代中国の皇帝や皇后を、

当時の医者が診察したカルテが残っているそうだ。

もちろん、その医学は、古代中国で二千年以上積み重ねられてきた中医学である。


中医学というと、

手首の脈を見る、を見る、といった診断を受けたことがある人や、

中国ドラマでその場面を見たことがある人もいるのではないだろうか。



実は、中医学の診断には4つの方法がある。




中医学の4つの診断法



  1. 望診:顔色・舌・体型などを「見て」観察する

  2. 聞診:声・呼吸音・話し方などを「聞く」

  3. 問診:質問をして、自覚症状などを「問う」

  4. 切診:お腹や手首に触れ、筋肉の緊張や脈を「診る」



これらは、膨大なデータと経験によって体系化され、

得られた情報を総合して、薬や治療法を導き出していく。



ところが――

皇帝のカルテに残されている診断記録は、ほぼ「脈診」だけなのだそうなを。


「食欲はどうですか?」

「最近、よく眠れますか?」


といった問診の記述も、わずかしか残っていない。



西太后をモチーフにした絵本タッチの扉絵。顔を直接診ることが許されなかった宮廷医療と、脈だけで健康を読み取った中医学の世界を、切手縁と星のモチーフで象徴的に描いている。
見られなかった顔と、残された脈。宮廷医療の奥で、静かに読み取られていたもの。


情報が少なすぎるのに、なぜ診断できたのか



そんな少なすぎる情報を駆使して、健康管理を徹底した結果、

西太后は70歳を過ぎても髪は黒々としており、50歳、あるいは40歳ほどに見えた――

そんな記録が残っているというから、中医師すごすぎる。


普通に考えると、

「触る」ほうが失礼な気もする。


けれど当時は、

“恐れ多くて、顔をじっと見てはいけない”

という感覚だったのだろう。


なるべく顔を見ないように、

目を伏せ、顔を逸らしながら、脈だけを取る――

そんな姿が目に浮かぶ。


もしかすると、

衝立の中から、手首だけを出していたのかもしれない。


とにかく、

脈だけで皇族の健康状態を診断することに、命をかける仕事だったのだ。





「目で見る」ことに詰まった、膨大な情報



けれど、皇族の中医師たちができなかった、「目で見る診断」。


顔色、体型、頭髪やひげ、

目、唇、歯、舌、耳、鼻、皮膚。


――これらすべてが、情報の塊だ。


時代劇でたまに見る、街角の占い師。

彼らが使っているのが顔相学である。


たとえば、

眉間は健康、

小鼻や鼻の頭は金運、

といったように、顔の部位や場所にもそれぞれ意味がある。


しかもそれは、運勢だけの話ではない。

顔の各所には対応する臓器や気血の状態があり、体の内側で起きている不調が、静かに映し出されている。

と考えられている。


映画やドラマに出てくる、

チンピラや悪役を思い出してほしい。


肌艶が悪く、

シワや傷が多い。

――あれは、わかりやすい「凶相」だ。


とはいえ、

狭すぎてもダメ、広すぎてもダメ。

陥没していてもダメ、出っ張っていてもダメ。


顔というのは、存外ムズカシイ。





偽占い師めいてきた話(笑)



占いをするわけじゃないけれど、

最近、私もなんとなく“わかる”ようになってきた。


その人の体質や、内側の状態が、

顔つきから想像できるようになったのだ。


……とうとう、偽占い師めいてきた(笑)。



先日、親戚を交えて数人で食事会をしたときのこと。

食事後、急きょ数人で別の店にも行くことになり、私も誘われた。


けれど、

その中に顔つきがなんだかヤバそうな人が、若干1名いて、

私は留守番に回った。


正直、

絶対に行動を共にしたくなかったのだ。


あとで聞いたところ、

やはりその人を中心にトラブルが起き、大変だったらしい。





顔は「心の履歴書」



顔は、健康状態がわかるだけでなく、

心の履歴書でもある。


顔で診断ができるということは、

裏を返せば、貧相にならないための予防法もあるということだ。


ここで、大原則となる言葉がある。





大原則:「相由心生(そうよりしんしょう)」



意味は、「顔は心の鏡」。

一時的な感情だけでなく、

長年の思考の癖や、生き方そのものが、

時間をかけて、その人固有の「顔つき」や「雰囲気」として刻まれる。


まさに、

あなたの顔は、心の履歴書なのだ。


小学生や中学生の同窓会で、

「この人、だれ?」と思うほど変貌している人、いるよね。


元々の美醜は関係ない。

これは、それまでの生き方や思考が、顔に刻まれた証拠なのだ。






「貧相」が生まれるメカニズム


――中医学と顔相学の視点から



ここで言う「貧相」とは、

生まれつきの顔立ちや、美醜の話ではない。


疲れているとき、

余裕がなくなっているとき、

自分でも気づかないうちに、

そう“見えてしまう状態”のこと。


中医学では、心に乱れがあると、まず「気」の流れが滞ると考える。

不安や怒り、焦りが続くと、

気は巡らず、血も滞り、

やがて「気滞」や「瘀血」という状態になる。


その結果、

顔色が冴えない、

表情が硬くなる、

どこか険しく見える――

そんな変化が、少しずつ現れてくる。


逆に、

心が落ち着いているとき、

呼吸が深く、よく眠れているとき、

気と血は自然に巡り、

顔にも、やわらかな余白が生まれる。



顔相学では、その人がまとう「」が、人や出来事を引き寄せると考える。

明るい表情は、

無理に作らなくても、

自然と人を近づける。



険しい表情は、

本人の意思とは関係なく、

人との距離を生んでしまうことがある。


だからこそ、

顔を変えようとする前に、

まず心と体の巡りを整えることが大切になるのです。



顔は、責められるものではなく、

これまでの状態を、

正直に映しているだけ。


そしてそれは、

いまからでも、ゆっくり書き換えていける履歴書でもあります。




顔は変えるものではなく、

整えていくもの。

その入口は、いつも心と体の内側にある。



古代の中医師たちは、

皇帝や皇后を見てはいけない!と思いながらも

こっそり、チラ見していたのかもしれない。





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