髪をとかすだけで眠りが変わる|古代中国の秘術「梳髪(そはつ)」という養生
- Emi | Kenshirou Siba Labo

- 11 時間前
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🪮 古代中国の秘術「梳髪(そはつ)」
――髪をとかすだけで、気血が整う理由
今日も、私はうちの犬のブラッシングを欠かさない。
それは、抜けかけた“冬毛を漉く”という必要に迫られているだけでなく、
もっと奥深い意味もある。
犬のヘッドスパとして、体調を整えているのだ。
犬は言葉で不調を言えないから、こういう小さなケアが、案外すべてだったりする。
「髪をとかすだけで体が変わる」
こう書くと、だいたい胡散臭い。
私もそう思う。むしろ、思いたい。
でも困ったことに、梳髪(そはつ)はちゃんと理屈がある。
冬のように、冷えと乾燥で「巡り」が鈍る季節。
あるいは、スマホと考えごとで頭がパンパンになる日。
そんなときに“梳髪”は、拍子抜けするくらいシンプルに効く。
やることは一つ。
髪を、とかす。
それだけ。

髪は、体の「通信ケーブル」
中医学を少しでもかじったことのある人なら、
「髪は血の余り」という言葉を聞いたことがあるかもしれない。
中医学では「髪は、血の余り」と言われています。体内の血が十分に満ちて、はじめて頭髪まで栄養が届く、という考え方です。
血は、酸素と栄養を運ぶ。
つまり髪は、体の状態を映す“アンテナ”。
たとえば――
血が不足すると:髪が細くなり、抜けやすくなる
ストレスや過労が続くと:白髪、うねり、パサつき
潤い不足だと:フケ、かゆみ
極度の貧血だった時、私の髪は本当に頼りなかった。
あれは偶然ではなく、体の正直なサインだったのだと思う。
そして髪だけでなく、「頭」そのものが、全身のバロメーターでもある。
1. なぜ「頭」を整えると、全身が変わるのか
中医学で、頭はただの“頭”ではありません。
古典では
「諸陽の会(しょようのかい)」
――全身の陽気(活動エネルギー)が集まる場所とされます。
もう少し現代語にすると、
頭は、神経・感覚・血流の司令塔
しかも、経絡(気の通り道)が集中する“交差点”
だから、頭が詰まると全身が詰まる
肩こりがひどい日に、顔がむくむ。
考えすぎた夜に、眠りが浅い。
あれは気分ではなく、「巡りの渋滞」。
梳髪は、その渋滞を、櫛でほどく行為です。
2. 梳髪は「気の流れ」を起こす、小さな儀式
頭皮は、皮膚でありながら、ちょっと特別な場所。
毛穴があり、汗腺があり、血管が多く、
なにより「気血」が集まりやすい。
梳髪をすると――
頭皮が刺激されて血流が動く
こわばりがほどけて、気が巡る
上にのぼった熱が散って、落ち着く
つまり、
頭の中の“余分”を流し、必要なものを回す作業。
朝にやれば目が覚める。
夜にやれば静かになる。
派手なことは何もしていないのに、体はちゃんと反応する。
そこが、梳髪の怖いところ(褒めてる)。
🌞 朝の梳髪
――目覚める、整う、動き出せる
冬の朝、体はまだ“閉蔵モード”。
魂が布団に置き忘れられていることがある。
朝の梳髪は、
頭の「陽気スイッチ」を、やさしく押すイメージ。
頭がすっきり
目が開きやすい
集中が戻る
顔がむくみにくい
「コーヒーの前に、櫛」
意外と効きます。
🌙 夜の梳髪
――熱を下げ、思考を静め、眠りに入る
夜は、頭に熱がこもりやすい。
SNS、ニュース、締切、反省会。
全部が頭の中で二次会を始める。
夜の梳髪は、その二次会を解散させる作業。
目の奥の疲れがほどける
こめかみが軽くなる
気持ちが静まる
寝つきがよくなる
「眠れない人は、まず頭を冷ます」
梳髪は、この知恵にぴったり沿っている。
4. どうやってやるの?
道具
目の粗いクシ(ブラシでもOK)
静電気が起きにくいものが理想
やり方
生え際 → 頭頂 → 後頭部へ、ゆっくりとかす
左右も同じ
最後に、首の付け根まで“流す”
回数
30〜100回くらい
速さより「ゆっくり」
コツ
痛いほど強くしない
髪ではなく「気」を整えるつもりで
5. やさしめにしたほうがいい人
次の人は、力を抜いて。
のぼせやすい/顔が赤くなりやすい(体に熱がこもりやすい)
頭痛がある日
頭皮が荒れている
めまいがある
回数を減らす、夜だけにする、で十分です。
6. 梳髪は「美容」より先に「養生」
顔の印象が上がるとか、リフトアップとか。
そういう話もあります。
でも本質はそこではない。
眠りを整える
頭の緊張をほどく
気血の巡りを戻す
冬の省エネモードを助ける
つまり、
静かに自分を回復させる生活技術。
冬の養生は、がんばることじゃない。
余計な消耗を減らすこと。
その入口として、
梳髪はちょうどいい。
手間がないのに、体がちゃんと覚えるから。
*なぜ冬に、こんな静かな養生が効くのか。
それは、前回の記事「腎と冬至の話」にあります。




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