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日々のかけら―犬と薬膳と暮らしの記録
柴犬ケンシロウと暮らす書き手が犬と人の薬膳、日々の気づき、浄瑠璃や文化、イベント制作の現場を記録するブログ


【女の罪と人形の涙】──奉行所が記した“女たちの生”
「女は、なにをしても罪になるのか——」 江戸時代の記録を読んでいると、ふとそんなことを思ってしまう。 講談社現代新書『 江戸の犯罪録 長崎奉行「犯科帳」を読む 』(松尾晋一著)に記された判決の数々は、どれも現代の私たちの感覚をゆさぶる。 たとえば、こんな記録がある。 ・妊娠して奉公先に迷惑をかけた女、死罪。 ・密通が発覚した妻は死罪、相手の男は遠島。 ・男をめぐって争った女は鼻を削がれ、見せしめに市中引き回し。 ・堕胎を依頼した女も、堕胎を手伝った者も、同罪。 それが、江戸のリアルだった。 でも、そんな “ 女たちの罪 ” を、舞台の上の人形たちは、涙ながらに語っている。 人形たちの悲しみは、物語の中でしか許されなかった“罪”を映し出す——。 ある日、人形浄瑠璃の現代語訳に取り組んでいた私は、『 恋飛脚大和往来 』を読んでいた。 この作品に登場する 遊女の梅川 (うめがわ)は、 愛した男の 公金横領 という大罪をかばうため、それでも彼のために命を投げ出そうとする。 彼女の行為は、現実ならば「 共犯 」だ。 なぜなら―― 梅川は、愛する男の窮状を救
2025年11月13日


【虚実の境界線】人形浄瑠璃と江戸の犯科帳──“物語の罪”は、本当に罪だったのか?
「その者、鼻を削がれ、市中を引き回されたのち、…」 読んでいたページを、そっと閉じた。 鼻を削ぐ? えっ? 本当に? ——それが、 江戸のリアル だった。 講談社現代新書の『 江戸の犯罪録 長崎奉行「犯科帳」を読む 』(松尾晋一著)は、200年、145冊もの記録をもとに、長崎という“江戸の国際都市”で起こった実際の事件と、その裁きを語った本だ。 長崎奉行所 が残した犯科帳には、江戸のリアルが淡々と記されている。「誰が」「どこで」「何をして」「どう裁かれたか」が一文の情緒もなく記され、読む者の想像力を鋭く刺激する。 そこには、現代の私たちから見れば目を疑うような処罰が、日常のように並んでいる。 たとえば、抜荷(密輸)を恐れて自害した者は、死体を塩漬けにされ磔。心中に失敗した者は、女は死罪、男は遠島。障子を盗んだだけで死罪。 ーー盗み、密貿易、偽証、下女の妊娠、果ては人を騙して金を取った話まで。 ただそれだけのことで、鼻を削がれた人もいた。 市中を歩かされ、見せしめにされた者もいた。 そして、ふと、思ったのだ。 これって、 人形浄瑠璃の世界 ではどう
2025年10月25日
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