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日々のかけら―犬と薬膳と暮らしの記録
柴犬ケンシロウと暮らす書き手が犬と人の薬膳、日々の気づき、浄瑠璃や文化、イベント制作の現場を記録するブログ


狩野探幽《雲龍図》─空に絡まる“祈り”のかたち─墨が描いた龍と風の物語
“絡まり続けた願い”は龍のかたちをして空を駆ける 風に乗り、空に祈りを刻む——龍の姿に、忘れられた願いの記憶が宿る 龍 は、空に棲んでいる。 でも、それは本当は雲かもしれず、ただの風かもしれなかった。 けれど確かに、そこに“力”があった。 絡みついたまま離れない 雲 と龍。 「風が吹いたら、どうなるんだろう」 ——それはただの 風 ではなく、 願いを連れた風。 忘れられた名を囁く風。 龍となって、空を巡る風だった。 そのまま飛んでいく? 悠然と? それとも、 めっちゃすごい速さで? 確かに聞こえた気がした、風の音―― それは、いつか見た 墨の記憶 に似ていた。 それは祈りであり、忘れられた力の名残だったのかもしれない。 妙心寺の天井を見上げたとき、あなたは何を感じるでしょうか? 龍の目が見つめているのは、きっと、あなたの中の“ほどけない風”かもしれません。 ■龍とは、“空に残された願い”かもしれない 天に昇る龍は、しばしば人々の祈りや願いを象徴してきました。 狩野探幽の『雲龍図』に描かれた龍もまた、 誰かの叶わなかった思い、忘れられた神への呼びか
2025年6月21日


墨から生まれ、夢へと消える龍——二つの雲龍図を読む
龍のまぼろし 空を裂く 波を飲む それでも ただの紙の上の 墨 どこにもいない どこかにいる気がする 墨の粒が集まって 雲になり 雲がほどけて 龍の夢になる 滲む墨が、龍の夢をほんの一瞬だけ見せてくれる それは、墨のような空だった。 そのなかに、にじむように“龍”のかたちが現れる。 でも、見ているそばから輪郭はほどけていく。 「龍ってさ、いたんだと思う?」 —龍の絵を見るたびに、人は“いなかったはずの存在”を思い描く。 巨大な龍が、墨の滲みと余白のあいだから現れ、空を裂くように描かれる。 その姿は、絵でありながら、夢の記憶のように私たちの心に残る。 海北友松『雲龍図』 友松の龍は、輪郭線をほとんど持たず、 滲みと勢い だけで形を立ち上げる。 墨が煙のように走り、その中から龍が生まれては消えていく。 安土桃山時代 の絵師・海北友松(かいほう ゆうしょう)が描いた『雲龍図』は、 墨だけで描かれた水墨画の傑作。 屏風絵としても知られ、荒々しい筆致の中に、龍が空へと昇るさまが描かれています。 この龍は、あたかも雲から生まれたかのように、形を変えながら姿を
2025年6月14日


雲龍図をめぐる空書き——空にひそむ物語
そらがき—— 雲に宿る、もうひとつの文字 夢のなかで、ふと空を仰いだ。 淡い雲がゆっくり流れ、その動きが まるで 筆跡 のように見えた。 知らない文字。 読めないのに、どこか懐かしい。 龍 のようにも見えるし、 ずっと昔に忘れられた神さまの名前を だれかが練習するように描いた跡にも見えた。 龍のような雲に、忘れかけた言葉の気配を探す。 天空では、神々が筆を走らせる。 墨 のかわりに光の粒を散らし、 音のかわりに風を揺らしながら。 言葉になる前の、 “なにか” 。 人がまだ名前をつけていない記憶や想いを、 雲の上にそっと描き残したのかもしれない。 わたしはその線を、指でなぞるように 静かに手を伸ばした。 触れたそばから、 雲 は形を失っていく。 けれど不思議と、 胸の奥には消えないものが残った。 ――あの空の筆跡は、 ほんとうは“わたしの中の龍”が 書き続けていたのかもしれない。 誰もが空に龍を見た。 友松の龍も、宗達の龍も、そして探幽が追いかけた龍も、 どこかで “絡まり続けた願い” の影を帯びていた。 私が見上げた空の線も、 その願いのひとつだ
2025年6月3日


ことばになる前の祈り──イスタクシワトルの洞窟に残る“記憶の場所”
ことばになる前の 祈りがひとつ 闇のなかで ぽつりと光る 開けるための扉じゃない。 閉じるための壁でもない。 これは祈り。 これは記憶。 記憶の扉が残る洞窟の祈りの場所。 *** 廃墟 に立つ、ひとつの石の枠。 門のようでいて、どこにも通じていない。 ただ誰かの「 願い 」だけが、 かたちを残したまま 静かにそこにあった。 「ここには、記憶が封じられている」 見えないはずの“誰かの心”が、 まだそこにとどまっているようだった。 門の向こうには何もなかった。 けれど、風のような気配だけが、 指先にそっと触れた。 *** メキシコ・イスタクシワトルの麓。 その 洞窟の奥 には、 石のレリーフと簡素な祭壇がひっそりと置かれている。 メキシコには“ ふたりの恋人の山 ”がある。 イスタクシワトルとポポカテペトル。 「眠れる女神」と「炎の戦士」。 結ばれなかった悲恋の象徴。 その麓に、古の祈りの場が息づいている。 先住民文化 にとって洞窟は、 地中へと続く闇のなか、 命を育む母なる大地の胎内だった。 土の匂い。 ひんやりとした空気。 静寂に積み重なる、声な
2025年6月1日
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