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【丸亀のとのさん】京極家と名君・高朗公の足跡を訪ねて

  • 執筆者の写真: Emi
    Emi
  • 2月28日
  • 読了時間: 4分

更新日:4月22日


丸亀では「とのさん」と呼ばれる京極家



香川県丸亀市では、今もなお京極家のお殿様を親しみを込めて「とのさん」と呼ぶ。


それは、特に6代目藩主・京極高朗(たかあきら)公の影響が大きいのかもしれない。


かつての藩主を今でも「とのさん」と呼び続ける土地はそう多くないが、丸亀の人々にとって京極家は、それほど身近で誇り高い存在なのだろう。


ちなみに、私もご縁があり、現在の京極家御当主に何度かお会いしている。 こっそりと「とのさん」と呼ばせていただいているが、歴史が息づく丸亀の土地柄を考えると、どこかしっくりとくるのだ。



京極家とは?—浅井三姉妹とつながる名門



京極家は、かつて大河ドラマにもなった「浅井三姉妹」の次女・初(はつ)が嫁いだ家としても有名だ。 母は織田信長の妹・お市の方、姉は豊臣秀吉の側室・淀殿、妹は徳川秀忠の正室・江。 このように、京極家は戦国時代の大名家とも深い縁がある。


また、京極家の歴史は丸亀藩に留まらず、 丹後国峰山藩、但馬国豊岡藩、讃岐国多度津藩 などにも京極家の系譜が続いている。


以前、全国の旧藩校関係者が集う「全国藩校サミット」が丸亀で開催された際、各京極家の御当主とお会いする機会があった。 皆さん、やはりどこか血縁を感じる風格を備えていたのが印象的だった。



丸亀市民にとっての

「とのさん」



丸亀市民にとって「とのさん」が今も身近に感じられるのは、名君と称えられる 6代目京極高朗公 の功績によるところが大きい。 高朗公は 明治元年(1868年)、丸亀の居宅にて逝去 され、遺言により丸亀市南条町の 玄要寺 に埋葬された。


このため、今も丸亀市民は、まるで家族のように「とのさん」と慕い続けているのだろう。



玄要寺—京極家の菩提寺



亥要寺は、丸亀藩 京極家の菩提寺 で、正式には「泰雲山玄要寺」と称する。 1604年に近江国で創建された後、京極家とともに小浜、松江、龍野と移り、1658年に丸亀へ移転した。


丸亀藩の歴代藩主 7名のうち、高朗公だけが丸亀に墓所を持つ というのも特筆すべき点だ。



高朗公の慰霊—墓前祭と神前祭



現在も、毎年5月には丸亀城で墓前祭が行われる。この際には、現在の京極家当主も参列されることが多い。


また、高朗公の命日(2月14日)には、亥要寺の墓前で神前祭が執り行われる。


これは「亥要寺には鳥居があり神仏習合の影響を受けていることから、命日には神式の祭祀を行うのがふさわしいのではないか」と、始まったものである。すでに10年以上続いており、今では丸亀の総氏神「山北八幡神社」の宮司による神前祭が恒例となっている。


このように、亥要寺では仏式・神式の両方で慰霊が行われており、高朗公への敬意が脈々と受け継がれている。



6代目藩主・京極高朗公の足跡



高朗公は 14歳で藩主となり、17歳で初めて丸亀に入国 した。 その後、40年間にわたり藩政を担うが、その治世は決して平坦なものではなかった。


主な出来事


✅ 財政難に苦しむ藩政の立て直し


✅ 江戸藩邸の火災や鳥居耀蔵事件の影響


✅ 嫡男の早世という悲劇


それでも、高朗公は 新田の開墾や港湾整備、産業振興に尽力 し、名君として称えられる。 さらに 藩士の内職として「丸亀うちわ」の生産を奨励 し、これが金比羅参りのお土産として大ヒット。 今日に至るまで 「丸亀うちわ」 は全国に誇る特産品となっている。


また、学問の奨励にも熱心で、 藩校を設立し、「西讃府志」という地誌を20年かけて編纂 するなど、文化人としての一面も持っていた。



高朗公が愛した

中津万象園



高朗公が 漢詩を詠んだ庭園 として知られるのが 「中津万象園」 である。 この庭園は、四季折々の風情を楽しめる名所として、現在も多くの観光客を魅了している。


現代の丸亀と

高朗公の遺産



「そりゃ40年も丸亀にいたら、とのさんも最後までこっちにおりたいやろう」 と、地元の人は言う。


高朗公の治世は、まさに 「100年後を見据えたまちづくり」 であった。

彼が整備した湊は 「丸亀金毘羅街道」 として今も残り、駅から自転車で行ける観光コースとして人気だ。 また、彼が広めた 「丸亀うちわ」 は、今や全国に誇る伝統工芸となっている。




京極高朗公の影響は、今も丸亀の町に色濃く残っている。 駅近くの玄要寺に眠る「とのさん」は、今も変わらぬ丸亀の風景を見守り続けているのだろう。


きっと、今日も寝物語に、

隣の幼稚園から聞こえる 園児たちの賑やかな声 に耳を傾けているのかもしれない——。




【備考】


訪れてみよう!


📍 玄要寺(京極高朗公の墓所)   香川県丸亀市南条町    JR丸亀駅から徒歩10分


📍 中津万象園    香川県丸亀市中津町 日本庭園&美術館を楽しめる人気スポット


「丸亀うちわ」の工房や、金毘羅参りのルートも合わせて巡ってみると、 「とのさん」 こと京極高朗公が愛した町の息吹を感じられるだろう。



関連リンク


✅ 丸亀市観光協会 https://www.love-marugame.jp/


✅ 中津万象園 https://www.bansyoen.jp/


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