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クレオパトラは不滅?アイメイクの先駆者?

  • 執筆者の写真: Emi
    Emi
  • 3月13日
  • 読了時間: 5分

更新日:9月18日


焦がしたアーモンド

炭素の影

彼女のまなざしは

永遠の魔法


Charred almonds,

Shadows of carbon,

Her gaze is

An eternal enchantment.




クレオパトラを題材にした映画、漫画、小説。

時代を遡って、無数にある。

エリザベス・テイラーのクレオパトラは悪魔的に美しかった。

王家の紋章のメンフェスのお姉様アイシスのイメージもクレオパトラなんじゃないだろうか、と勝手に思っている。

なんで、あんなに魅力的なのかなぁ。


クレオパトラ風の女性がグリーン系のアイメイクを施している様子。エジプトのピラミッドと化粧品素材が描かれたビンテージ風イラスト。
映画『クレオパトラ』を彷彿とさせるグリーンのアイメイク。古代の顔料が時代を超えて蘇る。

🌟日常のちょっとし疑問を解決するシリーズ2


クレオパトラの目元に宿る、時を超えた美しさ


焦がしたアーモンドと炭で練り上げた「コール」。

水と油に溶かし、細い棒で静かに描かれた黒い線。

銀色はアンチモン。

緑色はマラカイト(孔雀石)。

クレオパトラは、その瞳に色を重ねた。

上には銀。下には緑。

色の境界が、彼女の目元に奥行きを与え、見る者の視線を絡め取る。

――その目は、誘惑であり、力であり、運命。


1963年、映画『クレオパトラ』でエリザベス・テイラーが纏ったそのアイメイクは、古代エジプトの神秘と美を再び呼び覚ました。

60年経った今も、その大胆さは色褪せない。



美への執着は5000年前から


私たちの「美」への探求は、5000年前の古代エジプトにまで遡るらしい。

なかでも、エジプト最後の女王クレオパトラ7世の名は、その美しさと共に語り継がれてきた。


今、男性も美しさに関心をもつ人が増えてきた。

メイクはしていないまでも、お店で簡単なネイルや眉毛を整えるなどをしている人も多いと思う。


古代エジプトでは、男女ともにアイメイクをしていたそうだ。(あとで書き足すけど、古代のアイメイクは命がけ!)目の上下に異なる色を重ねることで、より豊かな表情を演出させるのが、古代エジプトのアイメイクの基本形。


でも、これは単なる美しくなろうとやっているわけじゃない。その重要性は、ラーの目などのエジプトの芸術やシンボルにも見られる。

なぜなら、「悪霊は体の開口部から侵入する」と信じており、目元を暗くすることで魔除けとしての役割も果たしてきたから。さらに、砂漠の強い日差しや埃から目を守る実用的な効果もあった。


美しさと実用性が融合したこのアイメイクは、髪型やファッションとも調和し、独自のエジプト美学を築き上げていたのである。




忘れられた美が蘇る瞬間



20世紀初頭、ツタンカーメン王の墓の発見(1922年)は、古代エジプト文化の美意識を再び世に知らしめた。


その神秘的でエキゾチックな美しさは、西洋文化に強い影響を与え、アートやファッションにも取り入れられていく。


1920年代から50年代にかけては、リップスティックがメイクの中心であり、唇に注目が集まっていた。しかし、1947年にクリスチャン・ディオールが「ニュールック」を発表すると、流れは変わる。


グラマラスなバストライン、引き締まったウエスト、たっぷりのAラインスカート。これまでのシンプルで控えめだったファッションに対し、「華やかでフェミニンなスタイル」が注目されるようになった。


この変化に伴い、メイクもより華やかで大胆な方向に進化し、再びアイメイクが注目されるようになったのです。



1960年代、再び注目されるアイメイク


1960年代に入ると、アイメイクに鮮やかな色彩が戻ってきた。

1961年、レブロンは「アイベルベット」という新しい液体アイシャドウを発売。 「ブルースノードロップ」や「ターコイズペタル」などロマンチックな色名と共に12色が展開された。


そして、映画『クレオパトラ(1963年)』の公開と共に、レブロンは映画にインスパイアされた新しい化粧品を発売。 エリザベス・テイラー×化粧品業界の発展が相まって、60年代の創造性に満ちあふれたアイメイクのブームが誕生したのである。



今も生きている、クレオパトラの美の遺産


時代を超えてなお、クレオパトラの美学=遺産は色褪せない。


クレオパトラは絶世の美女ではなかった、という話もあるし、彼女の美しさとは、単なる外見ではなく、メイクの知識とそれを駆使した変身術にあったのだろう。

時を超えた美しさは、ただ古いだけではなく、歴史や文化、人々の情熱に支えられて、今もどこかで、新たなインスピレーションを与えつづけているのかもしれない。



古代エジプトの神々や人物が描かれた金地のレリーフ壁画。青と金のコントラストが美しい神秘的なヒエログリフ装飾。
黄金に輝く古代エジプトの神々とヒエログリフ


備考1:関連サイト


• 国立博物館|クレオパトラとエジプトの王妃展(2015年)




備考2:古代エジプトの美と命懸けのリスク


古代エジプトの人々は、美しさと信仰を両立させるために、命懸けのリスクと隣り合わせで化粧を施していました。


1. コール(Kohl) – 美と毒の狭間


コールは、焦がしたアーモンドや炭、鉛を含むガレナ(硫化鉛)などから作られた黒い粉末で、目元を縁取るために使われていました。

しかし、鉛は有害であり、長期的な使用は鉛中毒を引き起こす危険がありました。

それでも、当時はコールが魔除けや眼病予防になると信じられ、太陽光や砂埃から目を守る効果があるとも考えられていたのです。



2. アンチモン(Sb) – 銀色の危険


アンチモンは銀白色の金属で、銀色の顔料として目元に使われました。

しかし、アンチモンもまた有毒で、肌への長期接触による中毒症状や健康被害のリスクがありました。



3. マラカイト(Malachite) – 緑の誘惑と毒性


美しい緑色を持つマラカイトは、粉末にしてアイメイクとして使用。

しかし、マラカイトは銅を含む鉱石であり、細かい粉末を吸い込むと重金属中毒の危険がありました。

傷口に入れば、命に関わることもあったでしょう。


そう、美しさにために命を厭わない時代があった。

古代エジプトの人々は、美しさを手に入れるために、見えない毒と向き合っていたのです。

それでも彼らは、美しさが神聖なものであり、魔除けや守護の力を持つと信じて、命懸けで装飾を施し

てきた。


現在のコスメは科学的に安全性が確保されており、鉛やアンチモンなどの有害成分は使われていません。

だからこそ、安全にお化粧を楽しむことができます。


けれど、命懸けだった美の歴史を知ることで、今の「美しさの自由」がどれほど幸せかを感じられるのではないでしょうか。


















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