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実録・補聴器を買いに行ってみたら、 機械より“人”だった件

  • 執筆者の写真: Emi
    Emi
  • 5 日前
  • 読了時間: 7分

あなたは、補聴器の値段を知っていますか?


メガネのように、検査して、その場で買えると思っていませんか?



——実は補聴器って…全然ちがうんです。



今度、『世界補聴器博2025』なるものが開催されるらしい。

最新の補聴器技術を知りたい、世界のトップブランドが大集結!


……それを知ったとき、

「えっ!すごく気になる。行くわ!」と心の中で叫んだ。


なんでそんなに気になるのか?

なぜ、今、補聴器なのか?

それは、まさに今、私が“がっつり補聴器に関わっている”からに他ならない。



なぜ今、補聴器なのか?



みなさん、補聴器のことをどれだけ知っているだろうか。


補聴器ほど、“知っているつもりで、実はよくわかっていない”ものはないんじゃないか。最近、私はつくづくそう感じている。


身近に補聴器を使っている人はいなかった。両親も、祖母も、親戚も——もちろん私も、誰も使っていない。

だから、知識といえば、テレビCMで補聴器店の名前を聞いたことがある程度。


「メガネやコンタクトと同じでしょ?」漠然とそう思っていた。


でも——、実情は、全く違うのだ。


もしかしたら、自分や家族がお世話になるかもしれない。

だったら、絶対に、あらかじめ知っておいた方がいい。


実は、義父が補聴器を使っているのです。ここ1年、義父の補聴器と、まるで“二人三脚”のように関わってきた。

修理、調整、再購入、また修理、調整・・・と、想像以上に“濃ゆい補聴器ライフ”を、現在進行形で体験中だ。


そこで感じた、いくつものカルチャーショック。

みなさんとぜひシェアしたい!




補聴器店に行ってみたら



義父のいつも作っているお店に入ると、“担当者”が待っていた。

奥の聴力をはかる部屋で聞こえの検査がある。そのデーターを元に、新しく補聴器を作ったり、聞こえの調整をするのだ。


「あれ?耳鼻科の診察は?」

ここで最初の疑問。


目が悪い場合、たいてい眼科で処方箋的なものを作ってもらい、それをお店に持って行き、実際にコンタクトやメガネを作る場合が多い。


でも、補聴器は違うのだ。

お店はお店、耳鼻科は耳鼻科。

その存在は独立している。


もちろん、病院でも“聞こえの検査”はできる。でも、その結果を持って、補聴器を作りに行くわけではない。


(えっ?そうなの?と私は驚いた)

病院とお店とは役割が分かれているらしい。


ちなみに、病院とお店、検査の仕方や検査内容がどれだけ違うのかはわからない。ただ、検査するための空間(防音)には差があるように思う。



肝は「担当者の腕」だった?!



そして、さらに驚いたこと。

買った補聴器のポテンシャルが活かせるかどうかは“担当次第”だというのだ。


「作って、調整して——それが店員の腕の見せ所だよ」

耳鼻科の先生が、静かにそう言った。


なんてこった。

まさか、そんな世界だなんて!!


繊細で高度な精密機械のはずが、肝心なところで人力…。

例え、どんな高い補聴器を買っても、それで終わりじゃない。


“最終的には担当者の能力が重要”だなんて、…知ってました?



“聴力検査”の見方、わかりますか?



まず、基本的な聴力検査について。


音の周波数もいろいろあり、125Hzから500Hzが低音で、バイクや車の音はここ。この低音部の聞こえが悪いと、歩いていても車の音が聞こえにくいから、少し危ない。


500〜2000Hzあたりが、ちょうど人の声。最近、「人の声が聞き取りにくい」というあなた。この音域の不具合が原因です。ちなみに、1000Hzあたりがピアノ音。


そして、4000〜8000Hzが高音。


これらの音の周波数と実際の聞こえ具合(dbという単位)が、折れ線ブラグで表される。普通に聞こえる人は、10〜20dbくらいで、聞こえないほど、数値は大きくなる。30dbは補聴器予備軍、といったところだろうか。


私は、まずこういう聴力検査の結果の見方もよくわかっていなかった。


次に、では検査結果をどうするか。


コンタクトやメガネの場合、視力検査の結果を反映させて、レンズの度数を足したり引いたりして、負担なくその人が求めている見え方に調整していき、購入するレンズの度数が決まる。“検査結果→購入のレンズを決める”という、流れるような連携プレーである。


一方、補聴器はというと、検査結果よりも、“どんな補聴器を選ぶか”が先になる。

ただし、片方か両耳タイプか、どちらを購入するかの参考にはなる。


じゃぁ検査結果はいつ活躍するのかというと、それは、購入した補聴器の調整で使われる。

しかし、購入者側に補聴器の知識があれば、検査結果を生かしてぴったりの購入機種を見極められる。(←これ、大事!)



あなたを魅惑する、多種多様な補聴器とその機能



思ったよりも種類があるのです。


機械だから当然値段の高いものほど、この125Hzから8000Hzの間を細かく、網目のように微調整できる。例えば、ミリ単位の調整が可能か、センチ単位の調整なのか、機種によってだいぶ違う。


そして、外で風の音や雑音だけを聞こえにくくしたり、集団や大勢いる場所で対応できるように、後ろからの声、横からの声など、いろんな角度から入ってくる声を聞きやすくしたり、逆に、正面の人の声だけにフォーカスしたり、周囲の環境に合わせて音が自動調節できる機能もある。高額な機種になれば機能の精度も上がるし、使える種類も増える。


文字にすると、これらの機能は「自動空間認識」「360オールアラウンド」「フロントフォーカス」などと言い、ちょっとかっこいい。


でも、かっこいいが、初心者にはよくわからない。


高い機種を買えばいいというわけじゃないし、安くてもいいというわけでない。


だって、例えば「低音が聞こえない、よく散歩する、歩いて買い物をする人」の場合、風の音を抑える、車両の音が聞こえやすくするなどの機能がある方がいいし、逆に主に家の中にいる人は、食器のカチャカチャいう音や室内の衝撃音を少し抑える機能が充実していた方がいい。


その人によって、聞こえてほしい音、聞こえてほしくない音は違う。


聴力検査の結果から見た“聞こえの実態”と“何を求める”のか。

店員まかせではなく、知識があればそれらを分析して、自分である程度の取捨選択ができる。



でも、補聴器は「魔道具:魔法の耳」じゃない



メガネやコンタクトと補聴器が1番違う点は、自分の耳が持っている能力以上は出せないということ。

まさに、“補聴”する器具なのだ。


目の場合はシンプル。

例え裸眼で1m先のものが見えなくても、メガネやコンタクトをつければ見えるのでなんとかなる。


でも補聴器は、“聞こえない”を“聞こえる”ように変える魔法の道具じゃない。

それだけ、人間の耳というのは高性能なのだ。


聞こえないからと言って、ただ音の大きさを拡大しても弊害が出る。

例えば、『耳鳴りがして聞こえない』という場合は、原因は耳本体なので、補助具にはどうにもできない。

補助したくてもできない限界があるのだ。



“いい補聴器”より“いい担当者”を



そこで、“担当者”の話に戻る。


その人のセンスなのか経験で、客のニーズになるべく沿うように、補聴器の限界を見極めて、時には超えていくのが、担当者の腕であるらしい。

しかし、なかなかその“腕”は分かりずらい。


年配だからといって、店長だからと言って、必ずしもピカイチに腕がいいわけじゃないだろう。


そもそも自分の買った機種が、自分の耳に対して、どのくらいのポテンシャルを発揮できるのか、どのくらい聞こえが変わる可能性を秘めているのか、その最大値がわからない。


高額商品だけに、気になる。

ーけれど、正解のない間違い探しをしている気分になる。


担当者とのことも、はっきり自分で判断できるのは、コミュニケーションがとりやすい人かどうかくらい。

結局のところ、担当者とお店を信頼して、二人三脚で補聴器と付き合うしかない。


「全国日本補聴器担当者選手権大会」でもないのだろうか。



ダイヤのメガネと、未来の補聴器



目と耳。

耳鼻科と眼科。

似ているようで、実は大違いだった。


そういえば、1600年代半ばに、ムガル帝国で作られた「ダイヤモンドレンズのメガネ」なんてものがあった。ムガル帝国といってもピンとこなくても、インドのタージ・マハルといえば知っているだろう。

もしかしたら、そのタージ・マハルを建てた皇帝の持ち物かもしれない。


約200ctの大きさのダイヤモンドから切り出して、メガネのレンズにしている。ダイヤは信じられないほど純粋らしく、わずか厚さ1.6ミリ。

日本が徳川家光が将軍の頃に、そんなメガネが作られていたのだ。


メガネの歴史は長い。

補聴器よ、早く追いついてください。



あなたの耳、大丈夫ですか?



聞こえるか、聞こえないかはコミュニケーションの上で、とても重要。

最近では、認知症にも影響しているとか。

補聴器の進化と医学の進歩に期待しています。



あなたの耳は大丈夫ですか?

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