はじめての補聴器。知られざる実態?
- Emi

- 9月18日
- 読了時間: 7分
更新日:9月20日
義父が交通事故にあって、補聴器がこわれた
ちゃぶ台返し級の衝撃:「4〜5万で買えるでしょ?」
義父の付き添いで、新しい補聴器を買いに行ったんですよ。人生初、補聴器です。
そこで知った、衝撃の「補聴器ワールド」をお伝えします。購入費は、当然!相手の保険屋さんに請求するんですけど、保険屋さんなんて言ったと思う?
「4,5万なら出ますよ」ですよ?
「オイオイ、ちょっと待って!そんな額で買えるわけないでしょう!!!」
気分は、ちゃぶ台返し。
そう、補聴器は想像以上に高額商品なんです。
精密機械なので、さもありなんって感じですが、義父の場合は両耳で80万しました。(値段はいろいろです。もっと安いものもあります)
それに、メガネやコンタクトレンズを買うのとは少しシステムが違う。

補聴器って、こんなに高くて複雑なの!?
みなさん、補聴器のことをどれだけ知っているだろうか。
補聴器ほど、“知っているつもりで、実はよくわかっていない”ものはないんじゃないか。最近、私はつくづくそう感じている。身近に補聴器を使っている人はいなかった。両親も、祖母も、親戚も——もちろん私も、誰も使っていない。だから、知識といえば、テレビCMで補聴器店の名前を聞いたことがある程度。
「メガネやコンタクトと同じでしょ?」漠然とそう思っていた。
でも——、実情は、全く違うのだ。
もしかしたら、自分や家族がお世話になるかもしれない。だったら、絶対に、あらかじめ知っておいた方がいい。
これは、ここ1年ほど、義父の補聴器とまるで“二人三脚”のように関わってきた、実録の話。今も私は、修理、調整、再購入、また修理、調整・・・と、想像以上に“濃ゆい補聴器ライフ”を、現在進行形で体験中だ。
とにかく、そこで感じた、いくつものカルチャーショック。
みなさんとぜひシェアしたい。
実録:付き添いで知った「補聴器購入のリアル」
義父のいつも作っているお店に入ると、“担当者”が待っていた。奥の聴力をはかる部屋で聞こえの検査がある。そのデーターを元に、新しく補聴器を作ったり、聞こえの調整をするのだ。最初から最後まで、補聴器店で補聴器は完結する。
「耳鼻科と連携してないの?」という補聴器の素朴な疑問
「あれ?耳鼻科の診察は?」
ここで最初の疑問。
目が悪い場合、たいてい眼科で処方箋的なものを作ってもらい、それをお店に持って行き、実際にコンタクトやメガネを作る場合が多い。眼科とお店が連携している。
でも、補聴器は違う。お店はお店、耳鼻科は耳鼻科。その存在は独立している。
もちろん、病院でも“聞こえの検査”はできる。でも、その結果を持って、補聴器を作りに行くわけではない。(えっ?そうなの?と私は驚いた)病院とお店とは役割が分かれているらしい。
ちなみに、病院とお店、どちらも検査はできるけど、どちらがいいとも言えない。検査するための空間(防音)や最新式の機械の導入をしているかなど、設備環境でも違いがある。
補聴器店には“担当者”がいる。しかも実力差アリ!
そして、さらに驚いたこと。
買った補聴器のポテンシャルが活かせるかどうかは“担当次第”だというのだ。
「作って、調整して——それが店員の腕の見せ所だよ」と、耳鼻科の先生が静かに言った。
なんてこった。まさか、そんな世界だなんて!!
繊細で高度な精密機械のはずが、肝心なところで人力…。例え、どんな高い補聴器を買っても、それで終わりじゃない。
“最終的には担当者の能力が重要”だなんて。……知ってましたか?
“聴力検査”ってどう読む?周波数とdBの見方
音の周波数もいろいろあり、125Hzから500Hzが低音で、バイクや車の音はここ。この低音部の聞こえが悪いと、歩いていても車の音が聞こえにくいから、少し危ない。
500〜2000Hzあたりが、ちょうど人の声なので、重要な音域です。最近、「人の声が聞き取りにくい」というあなた。この音域の不具合が原因です。ちなみに、1000Hzあたりがピアノ音。
そして、4000〜8000Hzが高音。
これらの音の周波数と実際の聞こえ具合(dbという単位)が、折れ線グラフで表される。普通に聞こえる人は、10〜20dbくらいで、聞こえないほど、数値は大きくなる。30dbは補聴器予備軍、といったところだろうか。私は、まずこういう聴力検査の結果の見方もよくわかっていなかった。
次に、では検査結果をどうするか。
コンタクトやメガネは、視力検査の結果をもとに、レンズの度数を足したり引いたりして、負担なくその人が求めている見え方に調整していき、購入するレンズの度数が決まる。
一方、補聴器はというと、検査結果よりも、“どんな補聴器を選ぶか”が先になる。ただし、片方か両耳タイプか、どちらを購入するかの参考にはなる。
じゃぁ検査結果はいつ活躍するのかというと、それは、購入した補聴器の調整で使われる。しかし、購入者側に補聴器の知識があれば、検査結果を生かしてぴったりの購入機種を見極められる。(←これ、大事!)

機能も価格もさまざま!補聴器選びはカオスだった?
思ったよりも種類があるのです。
機械だから当然値段の高いものほど、この125Hzから8000Hzの間を細かく、網目のように微調整できる。
例えば、ミリ単位の調整が可能か、センチ単位の調整なのか、機種によってだいぶ違う。
そして、外で風の音や雑音だけを聞こえにくくする、集団や大勢いる場所でいろんな角度から入ってくる声を聞きやすくする、逆に、正面の人の声だけにフォーカスしたり、周囲の環境に合わせて音が自動調節できるなど、さまざまな機能がある。高額な機種になれば機能の精度も上がるし、使える種類も増える。
重要なのは、耳ではなく“ライフスタイル”?
文字にすると、これらの機能は「自動空間認識」「360オールアラウンド」「フロントフォーカス」などと言い、ちょっとかっこいい。でも、かっこいいが、初心者にはよくわからない。高い機種を買えばいいというわけじゃないし、安くてもいいというわけでない。
だって、例えば「低音が聞こえない、よく散歩する、歩いて買い物をする人」の場合、風の音を抑える、車両の音が聞こえやすくするなどの機能がある方がいいし、逆に主に家の中にいる人は、食器のカチャカチャいう音や室内の衝撃音を少し抑える機能が充実していた方がいい。
その人によって、“聞きたい音、避けたい音”は違う。聴力検査の結果から見た“聞こえの実態”と“何を求める”のか。店員まかせではなく、知識があればそれらを分析して、自分である程度の取捨選択ができる。
補聴器は「魔法の耳」ではない
補聴器は、自分の耳が持っている能力以上は出せない。
まさに、“補聴”するための器具であり、“聞こえない”を“聞こえる”ように変える魔法の道具じゃない。
それだけ、人間の耳というのは高性能なのだ。
聞こえないからと言って、ただ音の大きさを拡大しても弊害が出る。高音の聞こえが悪くて強く補強していると、補聴器の装脱時に不快な機械音がする場合もある。聞こえなくてもいい音まで、無差別に拡大されるのだ。他にも、例えば『耳鳴りがして聞こえにくい』という場合は、原因は耳本体なので、補助具にはどうにもできない。器具と耳の間には、補助したくてもできない限界があるらしい。
補聴器の性能=担当者の腕?見えないバランス
そこで、“担当者”の話に戻る。
その人のセンスなのか経験で、客のニーズになるべく沿うように、補聴器の限界を見極めて、時には超えていくのが、担当者の腕であるらしい。
しかし、なかなかその腕は分かりづらい。年配だからといって、店長だからと言って、必ずしもピカイチに腕がいいわけじゃないだろう。
そもそも自分の買った機種が、自分の耳に対して、どのくらいのポテンシャルを発揮できるのか、どのくらい聞こえが変わる可能性を秘めているのか、その最大値がわからない。
高額商品だけに、気になる。どうも、正解のない間違い探しをしている気分にもなる。
担当者とのことも、はっきり自分で判断できるのは、コミュニケーションがとりやすい人かどうかくらい。
結局のところ、担当者とお店を信頼して、二人三脚で補聴器と付き合うしかない。「全国日本補聴器担当者選手権大会」でもないのだろうか。
ムガル帝国のダイヤのメガネと、未来の補聴器
目と耳。耳鼻科と眼科。
似ているようで、実は大違いだった。
そういえば、1600年代半ばに、ムガル帝国で作られた「ダイヤモンドレンズのメガネ」なんてものがあった。ムガル帝国といってもピンとこなくても、インドのタージ・マハルといえば知っているだろう。
もしかしたら、そのタージ・マハルを建てた皇帝の持ち物かもしれない。約200ctの大きさのダイヤモンドから切り出して、メガネのレンズにしている。ダイヤは信じられないほど純粋らしく、わずか厚さ1.6ミリ。日本が徳川家光が将軍の頃に、そんなメガネが作られていたのだ。
メガネの歴史は長い。
補聴器よ、早く追いついてください。
あなたの耳、大丈夫ですか?
聞こえるか、聞こえないかはコミュニケーションの上で、とても重要。最近では、認知症にも影響しているとか。補聴器の進化と医学の進歩に期待しています。
あなたの耳は大丈夫ですか?




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