
時を超える一杯:レトロサイフォンが奏でるコーヒー
- Emi

- 2024年12月19日
- 読了時間: 4分
更新日:9月14日
コーヒーサイフォンの音が気になる今日この頃です。
これって、普通なんだろうか?
うちのコーヒーサイフォンは、「バチっ」だとか「ガボボ」だとか、音を出す。
いつも「ぽこぽこ」かわいい音だけ出せばいいのに、結構な頻度で派手な音を出す。
そのたびに私は「割れるんじゃないか」と、ヒヤッとする。
というのも、このコーヒーサイフォン、とても古いものなのだ。
暴れた音をだす、うちの珈琲サイフォン
我が家のコーヒーサイフォンの歴史

そう、もう20年はうちにあると思う。もとは私の洋菓子の先生の持ち物で、先生が東京に戻る時に譲ってくださった。最初はうちの父が使っていたが、そのうち電気コーヒーメーカーに変わった。便利なものには勝てないらしい。
全く使っていないので、結婚を機に私がもらったのだが、実は私も使ってなかった。
いつでも使えるような場所においていたけど、出番はなし。アルコールで火を灯してコーヒーを淹れるというのは、なかなか素人には敷居が高い。喫茶店で飲むような、プロの手法なのだ。
「コーヒーを淹れる作法がわからぬ」など、茶道か?!みたいな言い訳で、遠ざかっていた。
そのうち、遠ざかる理由がもう一つできた。大量のインスタントコーヒーだ。
インスタントからサイフォンへ
毎年、実家が頂き物のインスタントコーヒーを大量にわけてくれる。結果、私はインスタントのコーヒー三昧。インスタントコーヒーは嫌いじゃない。ティラミスを作る時とか、役に立ってくれるし、最近のものは簡単で美味しい。
でもね、限界がきた。
「美味しい本格的なコーヒーが飲みたいんじゃ!」
しかし、私にはインスタントコーヒーを消費させるノルマがある。
このジレンマたるや…本当に辛かった。
古いコーヒーサイフォンのメンテナンス方法とは?
それからはもう、せっせと飲んだ。そして、めでたくコーヒーサイフォンが日の目を見る時がきたのであった。でも、いざ使おうとすると、かなりゴムのパッキンが劣化している。硬くなったパッキンのせいで、上部のロートと下のフラスコがくっついて、なかなか外れない!無理やり引き剥がしてガラスが破れるのも怖いので、パッキンを取り替えることにした。
……ゴムが硬化した硬さをなめてました。
「ひーっ」と、思わずか細い声が漏れ出る。
「あんた、本当は石か金属やろ?」と、言ってやりたいくらい、元がゴムとは思えない硬いゴムパッキンをカッターで削っていく。
恐る恐る、そーっと、そーっと。
手も削れそう。
いや、私の神経はいっしょに削れてた。とにかく、この作業の恐ろしさときたら!!もう二度とゴメンである。
教訓:ゴムが硬化する前に、すみやかにパッキンは定期的な交換を!

日本初のコーヒーサイフォンメーカーと出会う
まぁ、そんなこんなで、部品を取り換えるために、私は初めてこのサイフォンについて調べた。
1925年創業の日本で初めてコーヒーサイフォンを作った会社のものだったらしい。メーカー名は下側のフラスコに書いてあった。オンラインストアを見ると、取り替え用のゴムパッキンはある。でも、ロートもフラスコもうちのと形が違うのだ。「旧型はこちら」というページを見つけたが、その旧型ですらない。小さな部品とはいえ、うちのサイフォンに使えるのか不安に思って、写真付きでメーカーに問い合わせをした。
すると新事実がわかった。
なんと!この会社の『初期モデル』だったのだ。
対応も早く丁寧で、私が送った写真をもとに、うちのサイフォンの状態も確認してくれた。
問題なし。このまま現役で使える、とのこと。
やる気を出した私は、メーカーのHPや動画で使い方やメンテナンスも調べた。付け焼き刃的な知識でも、それはそれ。毎日飲む淹れたてのコーヒーに満足している。
もしかしたら、100年前のコーヒーサイフォン?
でもやっぱり、この「バチっ」だとか「ガボボボ」という音はいただけない。
「おう!なめた真似すると、いつでも割れてやるぜ!」とばかり、サイフォンが暴れているみたいで、ヒヤッとする。イメージは、野球のバットを持って、窓ガラスを割る中学生である。
「画像を拝見した限り、状態も良いようですので大切にお使いいただければ幸いです」
という、メーカーさんからの丁寧なメッセージが頭をよぎるのだ。創業1925年のメーカーの初期モデルとすると、もしかしたら100年くらい前のものかもしれない。こんな音をさせている私は、果たして大事に扱えているのだろうか。
そして、今日も私はサイフォンにちょっぴり気を使いながらコーヒーを淹れる。
――あなたの家のコーヒーサイフォンは暴れていませんか?


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