韓国ドラマの湯気の向こうに|伝統茶と薬菓、薬膳の知恵
- Emi | Kenshirou Siba Labo

- 2025年1月5日
- 読了時間: 3分
更新日:2月14日
韓国ドラマを観ていると、
ふとした場面で、湯気の立つ一杯が差し出される。
体調を崩したとき。
誰かを気づかうとき。
あるいは、静かに心を落ち着けたい夜。
何気ないその一杯に、
いつも少しだけ目が留まっていた。
——あれは、ただのお茶なんだろうか。
そう思って見ていくと、
韓国の伝統茶や菓子の背景には、
中医学や薬膳と深く重なる知恵が、静かに息づいている。
今回は、ドラマに登場する韓国の伝統茶と薬菓を、
薬膳の視点からそっと読み解いてみたい。

🌿 双和茶(サンファ茶)|気血を温める宮廷の一杯
韓国ドラマを観ていると、
冷えや疲れで倒れた人物に、
濃い色の温かい茶が差し出される場面がある。
それが、双和茶(サンファ茶)。
「双和」という名前には、
気(エネルギー)と血(血液)をともに補い、全身のバランスを整える、という意味が込められている。
10〜30種もの生薬をじっくり煮出して作られるこの茶は、
体の芯をゆっくりと温める、滋養の一杯だ。
たとえばドラマ『トンイ』では、
主人公が寒さで体調を崩した際、
宮廷の薬膳師が体を温める目的で双和茶を処方する場面がある。
あの湯気は、
ただの演出ではなかったのだ。
🌿 五味子茶(オミジャ茶)|五つの味が整える五臓のバランス
透き通るような赤い茶。
韓国ドラマで、
「甘いけど酸っぱい、不思議な味」
と語られることの多いのが、五味子茶だ。
五味子(オミジャ)は、
甘
酸
辛
苦
塩
五つの味をあわせ持つ、珍しい果実。
中医学では、
五味はそれぞれ五臓と対応すると考えられており、
五味子は全身のバランスを穏やかに整える食材とされている。
ドラマ『愛の不時着』でも、
疲れたヒロインに五味子茶が手渡される印象的な場面がある。
あの一杯は、
ただのおもてなしではなく、
理にかなった養生でもあったのだ。
🌿 ユルム茶|やさしい甘さの“飲む滋養食”
「ユルム茶飲む?」
現代ドラマで、
こんな何気ない一言とともに登場するのがユルム茶。
日本のはと麦茶のイメージとは違い、
ユルム茶は、はと麦に加えて
アーモンド
くるみ
松の実
かぼちゃの種
などを粉状にした、
とろりとした栄養茶だ。
ドラマ『わかっていても』では、
友人に差し出される、日常の一杯として描かれている。
薬膳的に見ると、
余分な水分の排出
胃腸のサポート
肌のコンディション調整
といった、
“静かな底上げ”を担うお茶。
派手ではないけれど、
だからこそ、日常に溶け込んでいる。
🌿 薬菓(ヤックァ)|祝いの席に添えられる甘い養生
韓国ドラマの宴席で、
必ずと言っていいほど並ぶ、つややかな菓子。
それが、薬菓(ヤックァ)。
小麦粉、はちみつ、ごま油を使って作られる、
韓国伝統の油蜜菓子だ。
中医学的に見ると:
はちみつ → 補中益気(胃腸を補う)
ごま油 → 潤燥(乾燥を防ぐ)
滋養の理にかなった組み合わせ。
ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』でも、
祝宴の甘味として登場し、
人々がその甘みを楽しむ様子が描かれている。
もっとも——
油蜜菓子なので、
食べすぎ注意なのは、今も昔も同じだけれど。
🌙 まとめ|ドラマの一杯は、生活の薬だった
韓国の伝統茶や薬菓は、
特別な養生法というより、
暮らしの中に溶け込んだ知恵
として存在している。
湯気の立つ一杯。
そっと差し出される甘い菓子。
そのやさしい所作の奥には、
体を整える理(ことわり)が、きちんと息づいている。
次にドラマを観るとき、
もし誰かに温かい茶が手渡されたら——
少しだけ、
その一杯の意味を、のぞいてみてほしい。



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