【ケンシロウ日誌 Vol.10】ケンシロウ、静かなる煽り屋
- Emi | Kenshirou Siba Labo

- 13 分前
- 読了時間: 3分
── 犬には吠えずに威圧する技がある。
“煽り運転の事故”、よくニュースで見かけますよね?
でも、ニュースにはならないけれど、
もっと身近で、もっと静かに、確実に起きている“煽り運転”があるんです。
ケンシロウの昼の散歩コースは、家を出て左に曲がるか、それとも右か。
まずは大きな分岐点を決めるところから始まる。
そこから派生するコースは全5種類。
どこを歩くかは、その日のケンシロウの気分次第。
ただ、今までは9割の確率で左へ曲がっていた。

ある日のこと。
たまたまレア確率で右へ進んだケンシロウ。
そこで、とあるお家の玄関に柴犬を発見。
水色のトタン屋根で囲われた簡易ハウス。
中には大きなピンクの洗面器。
寒くないように毛布が敷き詰められていて、手作り感満載。
そこに、ポスンと入っている柴犬が1匹。
多分、若いオス。
“……これは、また犬版アウトレイジか?”
と身構えたけれど、お互いじっと見つめ合うだけで平和そのもの。
「初めましてのワンちゃんだねぇ。」
なんてケンシロウに話しつつ、私はそのまま呑気に通り過ぎた。
その平和的な出会いから一夜明けた翌日。
ケンシロウは散歩ルートを変えた。
今までと真逆で、9割の確率で右へ。
そして、例の柴犬くんの家の前を通る。
立ち止まりはしない。
ただ、ほんのわずかに歩幅をゆるめ、
“俺は自由だぞ”と言わんばかりに颯爽と通り過ぎる。
吠えもせず、ただじっとケンシロウを見つめる柴犬くん。
熱い視線を背中に浴びながらも、ケンシロウは、真っ直ぐ悠然と歩いていく。
そして、少しハラハラしながら後ろをついていく飼い主。
これ、ほぼ毎日なんですよ?
繋がれている相手に、「俺、散歩してます」と毎日見せつける。
小学生が、削った消しゴムのカスを
前の席の子にコソッと投げる、あのイラズラのような感じ。
地味で、鬱陶しくて、でも妙に効くやつ。
なぜ、そう思うのか。
……ケンシロウは前科持ちなんです。
以前も、秋田犬相手にやっていました。
行きも帰りも、わざわざ通る。
相手が不在なら、最寄りの電信柱に「ケンシロウ参上」とマーキング。
雨の日も風の日も、コツコツと積み上げたのは善行ではなく“プチイライラ”。
そして、散歩中にかち合えば、必ず仁王立ちで睨まれるようになり、
——そして、噛まれた。
柴犬VS秋田犬。
この体格差は圧倒的。
流石に“ケンシロウ殺されるんじゃ?!” と本気でゾッとした。
でもね、煽り続けたケンシロウも悪い。
あれは自業自得。
その時とまったく同じような“煽り方”をしています。
これ、柴犬の習性?
うちのケンシロウだけ?
平和主義で吠えもしないのに、煽ることは忘れない。
煽り運転に事故はつきもの。
……この静かな煽り戦争、
どんなドラマが巻き起こるのか、ちょっと怖い。
🐕ケンシロウの今日の一日
朝:自由を背中で語る俺、今日も右へ
昼:「歩いているけど?なにか?」と、減速通過
夕:羨望の眼差しが心地よい。今日もミッション完了
🌟 次回予告|Vol.11「階段を制する者、家を制す」
階段を降りるスピード、家で一番速いのは——犬。
抱っこ時代から段差を研究し、ついに“制覇”したケンシロウ。
今日もダダダッと駆け降りる足音が響く。
それは元気の証であり、家を支配する者の音。
次回、ケンシロウの“段差テク”が明らかに。




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