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谷川俊太郎さんと海陽町 ~追悼展示の裏側

  • 執筆者の写真: Emi
    Emi
  • 3月2日
  • 読了時間: 4分

更新日:9月29日


海陽町の図書館と文化村では、日本を代表する詩人・谷川俊太郎さんを偲び、彼と海陽町とのつながりを振り返る追悼コーナーが設けられました。


この企画は、俊太郎さんが亡くなられた後、関係者からの相談を受け、かつて谷川俊太郎さんと深く関わったメンバーが中心となって準備が進められました。


海陽町の文化村を背景に、開かれた詩集と羽ペンが海辺に浮かぶ、谷川俊太郎さん追悼展示を象徴する絵本風イラスト
海辺に響いた詩の声、その記憶をもう一度

■追悼展示の準備、始まりの一歩



まず取りかかったのは、

約20年前の資料探し。


「確か、こんなものもあったはず…」

「倉庫にあるかも」

「写真のナンバーが分かればフォルダーを探せるのに…」


そう言いながら、メンバーそれぞれが記憶を頼りに資料を持ち寄ります。

持ち寄った資料からさらに新たな手がかりを得て、次々と記録を掘り起こしていきました。



■掘り起こした、谷川俊太郎さんとの記憶



  • 海陽町で作った詩集

  • 海辺の詩の授業を取材した雑誌

  • コンサートのポスター、チケット、プログラム、公演の音声記録

  • 詩の授業を受けた子供たちの感想文

  • 谷川俊太郎さんから最初に届いた海部高校の校歌の歌詞

  • ギター譜面の楽譜

  • 印刷された写真数枚



■20年越しに発見した『記憶の宝物』



そして、最後の最後で見つかったのが、写真のデータでした。


しかし、これは簡単に見つかったわけではありません。

保存していたはずのPCのハードディスクが壊れていた上、写真は毎年膨大に保存されていくため、海の中から小さな宝物を探すような作業でした。


無事見つかったのは、まさに執念の賜物。「見つけた!」という一報が届いた瞬間、思わず「やった!」という歓声が上がりました。



この1枚の写真の中に、20年前の記憶と谷川俊太郎さんと海陽町の深い縁のすべてが詰まっている気がします。

私も資料探しに加わるとともに、文章を書きました。


しばらく展示されているようなので

もし機会があれば直接ご覧いただけるとうれしいです。


※現在は終了しています


海陽町の図書館・文化村に設けられた谷川俊太郎さん追悼展示の様子。海辺の詩の授業を再現した大型写真パネルと、関連資料が並ぶ展示コーナー
海陽町の図書館・文化村に設けられた谷川俊太郎さん追悼展示。20年前に行われた“海辺の詩の授業”の写真や資料が公開されている

☑️会場



実際に展示されているのは短縮版です。


谷川俊太郎さんと海陽町

~追悼の想いを込めて~



日本を代表する詩人、谷川俊太郎さんがこの世を去られました。

その偉大な足跡を偲び、ここ海陽町とのつながりを振り返る 追悼コーナー を設けました。



谷川俊太郎さんと海陽町の出会い



文化館ホールで「日本語の美しさ」をテーマに公演を開催していた頃、谷川俊太郎・賢作さん親子による「ことばとあそぶ おととあそぶ」という詩と音楽の公演が実施されました。

この公演は2年続けて行われ、2年目のゲストにはフォーク歌手の小室等さんも加わりました。


また、公演の関連イベントとして、「谷川俊太郎賞」という詩の全国公募企画が生まれました。俊太郎さん自らが受賞作を選び、コンサートで朗読し、感想を伝え、詩集としてまとめるというものです。


さらに翌年には、海陽町の各学校で俊太郎さんが考えた最初の1行をもとに、クラスごとに詩をつなぐ「連詩」にも挑戦しました。


海陽町の中学校では、松林と海を前にしながら、谷川さんが子どもたちと詩を作る特別な授業も行われました。

そんな、一風変わった、でも海陽町らしい詩の授業。

俊太郎さんはこの時間をとても喜び、この取り組みは東京の雑誌にも取り上げられました。



詩のつながりが生んだ「徳島県立海部高校校歌」



こうした縁から生まれたのが、

作詞:谷川俊太郎、作曲:小室等による「徳島県立海部高校の校歌」です。


俊太郎さんがよくおっしゃっていた言葉があります。

「自分の頭の中にあるうちは、その詩は自分だけのものだけど、

原稿用紙にペンで書いた瞬間から、詩は自分だけのものじゃなくなる」

これからも、海部高校の校歌や俊太郎さんの詩は、たくさんの人の心に寄り添い、

その人の想いをのせて大切にされていくことでしょう。



本展示では、谷川俊太郎さんと海陽町のつながりを振り返る資料を公開しています。

詩が紡ぐ言葉の力、そして谷川俊太郎さんが残された温かい想いを、ぜひこの場で感じていただければ幸いです。

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