秋の乾燥対策は「潤い鍋」で―肺をいたわる秋の薬膳習慣
- Emi

- 10月5日
- 読了時間: 4分
■秋の乾燥がはじまるとき、まず「肺」に注目
トンボが飛び始めると、「秋だなぁ」よりも先に、「乾燥がやってくるなぁ」と、頭の中で注意警報が鳴っているような気がする。
ようやく朝晩は涼しくなったけれど、ここからは忍び寄る“乾燥”との戦い。
空咳、肌荒れ、免疫低下……そういえば、咳をしている人、増えましたよね。
秋の主役の臓器は「肺」。潤いが大好きで、乾燥がとても苦手。
肌荒れや咳、肩こり、乾燥便秘……「僕、ダメージ受けてるよ」と訴えるように、ある意味とってもわかりやすいサインを出すのです。おまけに、肺とペアの大腸まで弱るので、お肌の調子が悪いときは、内臓からのサインかもしれません。
案外、高い化粧品より、肺を守る方が美肌への近道だったりして。
「秋=潤す」がキーポイント。肺を整えることで、免疫も肌つやもアップします。
※中医学では、五臓の中でも「肺」は外気にもっとも近く、乾燥の影響を受けやすいとされています。

⭐きのこの力で潤す、我が家の薬膳“潤い鍋”
そんな私の秋の定番は、“潤い鍋”。椎茸・しめじ・えのきなど、きのこを数種類たっぷり入れて、まるで漢方を煮出すようにコトコトと。
お鍋以外にも、お味噌汁やコンソメスープなど、スープを作る機会は“きのこ”を煮出す絶好のチャンス。きのこは、必ず“複数入れ”がポイントです。
【潤い鍋レシピ(簡易)】
きのこ(椎茸・しめじ・えのき)
山芋(すりおろしでも角切りでも)
豆腐・レンコン・白菜・白ネギ
薄切りの豚肉(または鶏肉)
ホタテ or はまぐり(旨みと潤い)
生姜ひとかけ(寒さ対策)
出汁は昆布+干し椎茸でしっかりと
この鍋の食材ラインナップのいったい何がすごいか、といえば……
きのこたちは、いずれも「肺」を潤し、体の中の“乾いた隙間”に、ふわっと優しく水分を届けてくれます。特に椎茸は、気(エネルギー)を補いながら、免疫も底上げしてくれる頼もしい存在。
そこに、山芋。ぬめりとともに「潤いを生む力」があり、乾いた肺を内側からしっとりと包み込むように働いてくれます。疲れやすい人にもぴったりです。
豆腐は、五臓六腑の「脾」と「肺」にやさしく、体の中の余計な熱を取ってくれます。
レンコンは、肺に直接働きかけ、咳を鎮めるのに効果的。体の内側にこもった熱や乾きも、すっと整えてくれます。
白菜は水分たっぷりで「涼性」の野菜。体にこもった秋の残暑を静かに鎮めながら、同時に潤いも与える名脇役です。
そして、豚肉とホタテ。豚肉は「滋陰」といって、体に必要な潤いを“生む”代表選手。ホタテは胃腸にも肺にも優しく、体の疲れと乾きを一緒に癒してくれます。
これらすべてを、昆布と干し椎茸で取ったスープに入れて、静かに火を通す。
それだけで、立派な「潤いの薬膳スープ」が出来上がります。
⭐肌・喉・免疫に。梨と氷砂糖のやさしい薬膳スープ

旬の果物も、秋の潤い補給には欠かせません。特に、梨。そのみずみずしさは、乾いた肺にまっすぐ届くような“潤い配達便”のようです。
中国や韓国では、梨を氷砂糖と一緒にコトコト煮て、あたたかくして飲む習慣があります。
この「梨湯(リータン)」や「ペチュク(배숙)」は、咳や喉の痛みが出たときのお母さんの常備薬。韓国ドラマでも、風邪をひいた登場人物にそっと差し出されるシーンを見たことがある人も多いはず。
氷砂糖には「肺を潤し、咳を鎮める」作用があるとされ、梨の清涼と合わさることで、乾燥する季節にぴったりの自然なケアになります。
私も喉がカサつく夜は、薄く切った梨を鍋で煮て、氷砂糖をひとかけ。ほんのり甘い香りと湯気に、心までほっとほどけていくようです。
■今日からできる、秋の“ちょっと潤い”習慣
空咳には、かぶ・銀杏を。痰の多い咳には、大根やはちみつを、薄くスライスして蜂蜜に漬け、朝のヨーグルトに混ぜたり、酢の物に加えたり。
「食べないより、ちょっとでも」
それが、薬膳習慣の合言葉。
そして、朝一番に澄んだ空気を胸いっぱいに吸って。
季節の変化を敏感に感じながら、白い食材で体を潤す。
そんな小さな積み重ねが、きっと冬をラクにしてくれます。




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