top of page

月経痛と子宮筋腫:痛みのサインに耳をすませて

  • 執筆者の写真: Emi
    Emi
  • 9月10日
  • 読了時間: 8分

更新日:10月21日





「生理、まだあるかどうか」じゃない。

すべては体質判断の入口



漢方薬局へ行くと、女性は必ず月経のことを聞かれる。

「もう閉経しましたけど…」と答えても、たいていこう返されてしまう。

「いいんです、思い出して答えてください」


──それは、冷やかしでも興味本位でもない。


月経の状態は、女性の体質を知るための大きなヒントなのだ。



漢方と薬膳に関する知識を学ぶ女性が、月経痛や体質改善をテーマにしたノートを見つめながら、自然素材とともに向き合っている様子の絵本風イラスト
月経痛は「体からの小さなSOS」

たとえば、こんな質問が飛んでくる。

「周期はどれくらい?」

「生理痛はある?」

「痛みは月経の前?後?それとも中?」


これらの情報は、中医学(中国伝統医学)における体質分類の重要な判断材料。

「生理の記憶」には、思っている以上に体の秘密が詰まっているのである。




そもそも「生理痛」はなぜ痛い?



人によって違う生理痛。でも中には、「動けなくなる」「吐き気がする」ほどの痛みに悩まされる人もいる。


では、何がどうなって、そんな激痛になるのか?

ここで、ちょっとしたイメージを。



子宮をマヨネーズのチューブに見立てて想像してみてください。


子宮の冷えと、生理中の経血が固まって出る様子を表現したユニークなイラスト
子宮をマヨネーズのチューブに見立てると...

実際、子宮の大きさはザクロ5個分ほどとされ、筋肉でできたしっかりした臓器。

このチューブをギュッギュッと絞るように、子宮が収縮しながら内膜を排出しようとする──

これが生理痛の正体というわけ。


詳しく言えば、子宮が収縮するのは「プロスタグランジン」という物質の作用なのだ。

これは“発痛物質”で、分泌されることで痛みが起こる。

しかも、このプロスタグランジンが多く分泌されればされるほど、痛みは強くなるのです。



生理痛の根本は「血流の悪さ」だった?



ここでカギになるのが「血流」


実は、血の巡りが悪いとプロスタグランジンが過剰に分泌されることがわかっています。


つまり、生理痛の本質は「血流の滞り」


血流をよくすれば、子宮の動きはスムーズになり、プロスタグランジンの量も抑えられ、痛みも和らぐ──。

この理屈を知ると、「お腹を温めると痛みがラクになる」のも納得ですよね。


ただし、本当に温めるべきは「仙骨」(背中側のお尻の上あたり)。

仙骨周辺は皮下脂肪が少ないため、お腹を温めるよりも血管を直接温めやすく、全身の巡りが良くなると言われています。




血流が悪くなる原因って?



では、そもそも「血流の悪さ」とは、どういう状態なのか?



大まかに言えば、以下の2パターンがある:


🚧 渋滞タイプ:気や血の流れが途中で詰まっている(ストレス・冷え・運動不足など)

🩸 不足タイプ:血そのものが足りない(貧血・食事の偏り・睡眠不足など)


中医学では、こうした状態を「気滞(きたい)」「血虚(けっきょ)」「瘀血(おけつ)」などと表現する。

どのタイプでも月経のリズムや痛み方に個性があり、体質判断のカギとなります。




痛みは体の“メッセージ” 放置しないで!



月経痛を「我慢すれば治る」「毎月のことだから」と放っておくのはキケン!


なぜなら——

“痛み”=体のどこかで“滞っている”証拠だから。


そのままでは悪化するよ?というサインかもしれません。

たとえば、瘀血タイプや冷えタイプの人は、子宮筋腫・子宮内膜症など婦人科系の病気につながりやすい。


「毎月痛み止めを飲んで終わり」でやり過ごしていると、

根本的な巡りの悪さが解消されないまま、慢性化していきます。



最後に:月経痛は「体質のサイン」



生理痛は、毎月起こる「小さなSOS」。

カラダが「今の生活、このままじゃダメだよ〜!」と教えてくれているんです。


では、どうする?


💡 痛みのタイプを知る(→あなたの体質を理解する)

🍚 食事でサポート(→食材の効能を知って取り入れる)

💤 生活習慣を見直す(→夜ふかし・ストレス・冷えに注意)

🌿 漢方や薬膳、信頼できる薬局で相談も選択肢に


ぜひ、月経痛を“観察する”ところから、はじめてみてください。




月経痛からわかる「あなたの体質」チェック🩺




①【気滞タイプ】気が滞っている人(血は足りている)


  • 月経前〜月経開始にかけて下腹部や胸が張る

  • イライラしやすい/怒りっぽい

  • 月経前に便秘気味

  • 月経開始とともにスッと痛みが引く


🧠【原因】

ストレスや感情の抑圧によって“気”が滞ることで、血の流れまでスムーズにいかなくなるタイプ。


🍊【おすすめ食材・習慣】

柑橘類、そば、ジャスミン茶、酢の物、ウォーキングなど軽めの運動で“気”を巡らせて。



②【血虚タイプ】血そのものが足りていない人


  • 月経後2〜3日、ズーンとした鈍い痛み

  • 顔色が青白い/疲れやすい/眠りが浅い

  • 生理量が少ない or 色が薄い

  • 立ちくらみ・めまいが多い


💤【原因】

月経によって気血が大量に失われ、エネルギー不足に陥るタイプ。


🥬【おすすめ食材】

レバー、小松菜、ほうれん草、黒ごま、鶏肉、クコの実など。

月経後は特に無理をせず、早寝が基本!



③【瘀血タイプ】血の滞りが強い人(→子宮筋腫にも関係)


  • 月経痛が「刺すような」鋭い痛み

  • 経血にレバー状の血塊が混ざる

  • 月経期間が長い(7日以上)

  • 胃や下腹部が張る、むくみやすい

  • 月経中、胸の張りや痛みが強い


🩸【原因】

血がスムーズに流れず滞っている。中医学ではこの状態を「瘀血(おけつ)」と呼びます。

放っておくと、子宮筋腫や内膜症などの原因にもなりやすい。


🍽【おすすめ食材】

納豆、黒酢、シナモン、ニラ、クランベリー、レンコン、搾菜、よもぎ、温かい汁物など。

とくに“温め+血を動かす”作用のあるものを意識的に取り入れて。



④【冷えタイプ】血流が悪くて激痛タイプの人


  • 生理中、とくに下腹部が冷えるとズキズキ痛む

  • 経血は黒っぽい/レバー状の塊がある

  • 冷え性/足先・手先がいつも冷たい

  • 温めると痛みが和らぐ


🧊【原因】

外からの冷え(薄着、冷たい飲食)や、体の内側からくる「陽気の不足(=体を温める力の低下)」によって、血が巡らず“瘀血”が発生。


♨️【養生ポイント】

とにかく温める!とくに「仙骨(お尻の中央)」を温めるのが効果的。腹巻やカイロも◎。

🍲【おすすめ食材】

しょうが、にんにく、ニラ、ねぎ、よもぎ、シナモン、八角などの温性食材。

鍋料理、スープ、薬膳茶(黒豆茶、生姜紅茶など)もおすすめ。



⑤【湿熱タイプ】ドロドロ・ねばねばタイプの人


  • 経血が粘っこい/量が多くてベタベタ

  • おりものが黄色っぽい・におう

  • 月経前に胸の張り/ニキビ/便がベタつく

  • むくみやすく、下腹部が重たい


🌫【原因】

辛いもの・脂っこいもの・甘いものの摂りすぎ+冷たい飲み物やお酒の習慣によって、体に「湿(余分な水分)」と「熱」がこもる。

これが“湿熱”となり、経血が濁りやすくなる。


🍉【おすすめ食材】

とうもろこしのひげ茶、冬瓜、もやし、きゅうり、緑豆、海藻類など“利水・清熱”の食材。

揚げ物・お酒・スイーツは控えめに。




月経痛タイプ別・かんたん薬膳レシピを紹介


レンジや鍋で作れる、普段使いOKなものばかりです🍲



漢方素材を使った薬膳茶が透明のポットに入れられ、湯気を立てながら木製のトレーに並べられているカフェ風のテーブル風景
薬膳レシピで体質改善しよう


🔴【気滞・瘀血タイプ】ズキズキ刺すような痛みに


🥢血の巡りをよくする「黒酢レンコン炒め」


材料(2人分)

  • レンコン:100g(薄切り)

  • にんじん:1/3本(細切り)

  • 黒酢:大さじ1

  • しょうゆ:大さじ1

  • はちみつ:小さじ1

  • ごま油:小さじ1

  • 白ごま:適量


作り方

  1. フライパンにごま油を熱し、レンコンとにんじんを炒める

  2. 黒酢・しょうゆ・はちみつを加えて、少し煮詰める

  3. 白ごまをふって完成✨


効果:

レンコン→血の巡りを良くし、瘀血の改善に

黒酢→活血・理気、イライラ解消にも◎



🟠【冷えタイプ】ズーンと重く、冷える痛みに


🍲仙骨から温める「生姜にらスープ」


材料(2人分)

  • にら:1/2束(ざく切り)

  • 生姜:1片(千切り)

  • 溶き卵:1個分

  • 鶏がらスープの素:小さじ2

  • 水:400ml

  • ごま油:少々


作り方

  1. 鍋に水+鶏がらスープ+生姜を入れて火にかける

  2. 沸騰したら、にらを加える

  3. 溶き卵を回し入れ、火を止める

  4. ごま油をひとたらしして完成✨


効果:

生姜・にら→温める食材で内臓から冷え対策

卵→血を補う食材としても◎



🟡【気血両虚タイプ】シクシク・疲れやすい・貧血気味


🍚鉄分補給「黒豆と小松菜の炊き込みご飯」


材料(2〜3人分)

  • 白米:2合

  • 黒豆(煎り):大さじ3

  • 小松菜:1/2束(細かく刻む)

  • 塩:小さじ1/2

  • しょうゆ:小さじ1

  • 酒:大さじ1


作り方

  1. 米を洗い、炊飯器に入れる

  2. 黒豆・調味料・水を加えて、2合の目盛に合わせる

  3. 通常通り炊飯

  4. 炊き上がったら、小松菜を加えて5分蒸らす


効果:

黒豆→血を補い、腎もサポート

小松菜→鉄分・カルシウム豊富で、貧血予防に◎



月経痛タイプ別・やさしい薬膳おやつレシピを3つご紹介


市販のお菓子より体にやさしく、気血や巡りを整える素材を使っています。



1. 【気滞・瘀血タイプ向け】


《黒糖とシナモンのさつまいもボール》


材料(8個分)

  • さつまいも:中1本(200g)

  • 黒砂糖(粉末):大さじ2

  • シナモンパウダー:少々

  • 塩:ひとつまみ


作り方

  1. さつまいもは皮をむいて輪切りにし、蒸して柔らかくする

  2. 熱いうちに黒糖・塩を混ぜてマッシュする

  3. 丸めて、シナモンをふって完成✨


効能

・黒糖→活血&体を温める

・シナモン→血流促進、冷えに◎

・さつまいも→気を補い、甘味でリラックス



2. 【冷えタイプ向け】


《生姜黒ごまクッキー(小麦粉不使用)》


材料(10枚分)

  • 黒ごま:大さじ3

  • 米粉:100g

  • 生姜パウダー:小さじ1

  • はちみつ:大さじ1

  • 菜種油(または太白ごま油):大さじ2

  • 水:大さじ1〜2(調整)


作り方

  1. 材料をすべて混ぜてひとまとめにする

  2. 生地を丸めて平たくし、170℃のオーブンで15分焼く


効能

・黒ごま→腎を補い、アンチエイジング

・生姜→温性で冷えを撃退

・米粉→胃腸にやさしい



3. 【気血両虚タイプ向け】


《なつめとクコの蒸しプリン》


材料(2個分)

  • 卵:1個

  • 牛乳 or 豆乳:150ml

  • 黒糖:大さじ1

  • なつめ(種を取って刻む):2個分

  • クコの実:小さじ1(水で戻す)



作り方

  1. 卵・黒糖・牛乳(または豆乳)をよく混ぜる

  2. 容器に流し入れ、なつめとクコの実を入れる

  3. 弱火で15分蒸す(またはレンジで600Wで2分半〜調整)


効能

・なつめ→補血・安神(心を落ち着ける)

・クコの実→肝腎を補う、目にもよい

・卵→気血を補うベース素材



どれも「冷え」「血の滞り」「気血不足」にやさしく寄り添うおやつ。

体調や体質に合わせて、週に数回のおやつとして取り入れてみてください






コメント


bottom of page